CAは恋と旅がお好き

現役客室乗務員の恋愛事情と旅の記録をお話しします。

CAが綴る、旅先で見た風景。vol.7 ニューヨークでロストバゲージ。

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長いフライトを終え、

遂にニューヨーク ジョン・F・ケネディ国際空港に到着した。

 

入国審査も無事に通過し、

受託手荷物をピックアップしに向かった。

 

これまでの経験上

自分の手荷物がすぐに流れてくる日と

そうでない日がある。

満席の便で手荷物がなかなか流れてこない日は、

かなり待つことになる。

 

早く出かけたいという気持ちが

待ち時間を余計長く感じさせる。

 

私は特にエアラインのステータスもなく、エコノミークラスだったから

ある程度待つことは予想していた。

 

しかし待てど待てど私のスーツケースは流れてこない。

今回は友人と2人旅だったのだが、友人も同様である。

周りにいた人はどんどん減っていく。

 

「今日は運が悪いな」

そんなふうに思った矢先、異変に気付く。

 

さっきから同じスーツケースしか回っていない。

新しい荷物が流れてくる気配もない。

 

少しずづ胸騒ぎがし始めた時、

スタッフに話しかけられた。

 

「エアチャイナ?」

と聞いている。

 

私の英語力は拙いが、ある程度のコミュニケーションは取れる。

 

スタッフは私たちの名前を確認し、

「荷物は明日届く」と言っている。

 

正直意味がわからなかった。

英語がわからないのではなくて、状況を理解するのに戸惑った。

 

話しかけてきた人は私たちが予約したエアラインのスタッフではない。

この人にクレームを言うのはおかしいので、

精一杯、原因やこの後とるべき行動を尋ねた。

 

わかったことは、

私たちが利用したエアラインでは、このようなケースがよくあるということと、

私たちの荷物はアメリカの他の空港にあるということ。

 

いわゆるロストバゲージ!?

 

そう人生で初めてロストバゲージを体験した。

 

日本での手続きにおいて私たちに不備はなかったのにこんな目に遭うなんて。

安さが故の宿命なのか。

 

スタッフに教えてもらった場所へ行き、荷物を受け取る手続きをした。

そこで私たちに与えられた選択肢は2つ。

1つは、明日自分たちで空港まで荷物を取りに来る。

もう1つは、滞在しているホテルに荷物を送ってもらう。

 

当然手間と時間を考えたら後者を選びたいところだが、

送るのに時間を要し、手元に荷物が届くのは2日後とのことだった。

なんだその選択肢は。

1週間くらいしか滞在しないから、荷物が届く頃には半分が終わっていることになる。

それまで着る物も、メイク道具も何もかも無い。

こっちは張り切って、何日目にどの服を着るかまで考えているんだぞ!

という怒りでいっぱいだった。

ここはアメリカ。はっきり意思表示をしなければ。

果敢に思いを訴えたが、他所にあるスーツケースをどうすることも出来ない。

諦めて明日自分たちで取りに来る手続きを行い、

機内で過ごす為に着ていたダサい服でホテルに向かった。

 

本来なら、ホテルで着替えてメイクも直して街に繰り出す予定だったが、

その思いはもう吹っ切れた。

ダサい服のまま、タイムズスクエアにもエンパイアステートビルディングにも行ったし、

憧れのでっかいピザも食べたし、

最高に楽しい初夜だった。

 

SNS用の写真は1枚も撮れなかったが、

その代わりに本質的に楽しめた。

 

次の日には無事にスーツケースを受け取れた。

空港までの往復のお金と時間がもったいないと正直思ってしまったが

一生忘れない思い出になった。

だって昨夜は自分達の境遇が笑えて、余計に楽しかったから。

ポジティブシンキングの大切さを実感できた旅行であった。

 

楽しいニューヨーク旅行を終え、同じエアラインで帰国する。

4時間の遅延。

嗚呼、エアチャイナよ勘弁してくれ。

 

無事に日本到着。

安全飛行に感謝。

いざスーツケースをピックアップしようとすると予感は的中。

今回は自宅に送ってもらう選択肢を選んだ。

 

重いスーツケースを自分で運ばなくて良くなった。

ありがたきロストバゲージ2回目。